経済産業省がECサイト運営のガイドラインとする「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の概要を以下に掲載します。
【論点】
日本の居住者が管理するインターネット掲示板に他人の名誉や信用を毀損する書き込みがなされ、様々な国々において被害が発生した場合、そのことに基づいて海外の居住者が差止や損害賠償を請求するときに、いずれの国の法が適用され、どのように紛争が解決されるか?
海外の居住者が自らの居住国の裁判所において、日本の掲示板管理者に対して訴えを提起した場合は、訴えが提起された裁判所に国際裁判管轄が認められるかどうかについては、当該裁判所が所属する国の法律によって判断されることになります。
海外の居住者が日本の掲示板管理者に対して、日本の裁判所において訴えを提起する場合は、被告の住所地のある日本の裁判所に裁判権が認められます。
日本で裁判が行われる場合については、通則法第17条において、不法行為一般につき、「結果が発生した地の法による」と明記されています。ただし、その地における結果の発生が通常予見することができないものであったときは、加害行為が行われた地の法が準拠法になるとされています。
通則法第19条では、名誉又は信用の毀損に関する特則を設けており、インターネット掲示板上で名誉・信用毀損の書き込みがされて様々な国で被害が生じた場合であっても、そのことに基づいて差止や損害賠償の請求をする際には、被害者の常居所地法によるものとされています。
ただし、その法が外国法である場合には、通則法第22条により、その書込み行為が日本法によれば不法とならないときは損害賠償等の請求はできず、また、当該外国法及び日本法によって不法行為となる場合であっても、日本法により認められる損害賠償等の処分でなければ請求できません。