通販の定期購入契約の利用規約(雛型)と解説書【2022年の特定商取引法改正に対応】
インターネット通販の中でも定期購入(サブスクリプション)の契約で商品やサービスの販売を行う場合には、ウェブサイトに特定商取引法第11条(同法省令第8条)に基づいた定期購入に関する事項を適正に表示しなくてはなりません。
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で対面販売やセミナー集客が難しくなったこともあり、通販による定期購入契約の確保が注目されています。
※定期購入契約については消費者トラブルが多発したことにより、2022年施行の特定商取引法の改正で通販のルール強化が行われました。
本雛形と解説書には、その改正事項への対応方法についても記載をしています。
定期購入契約でトラブルが多発している原因は定期購入の取引条件がわかりやすく表示されていないことです。
あまりにもトラブルが多いと解約が立て続けにされたり、消費者庁から行政処分をされるリスクが高まってしまいます。
特定商取引法などの法律に沿った適正な表示を行えば、そのようなリスクの心配は無くなり、安定的な売上確保を見込めるようになります。
<特定商取引法第11条>
1.商品・サービス・権利販売の対価(販売価格と送料の表示)
2.対価の支払い時期
3.商品の引渡し時期 権利の移転時期 サービスの提供時期
4.契約の撤回や解除についての事項
5.商品の分量・解約条件・定期購入であること等 ※2022年改正事項
6.その他の省令で定める事項
<同法省令第8条>
1. 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
2. 販売業者又は役務提供事業者が法人であって、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合には、当該販売業者又は役務提供事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
3. 申込みの有効期限があるときは、その期限
4.販売価格以外に購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額
5.商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者責任についての定めがあるときはその内容
6.プログラム・データを記録した物を販売する場合にはその動作環境
7.商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件(いわゆる定期購入契約)
8.商品の販売数量の制限その他の特別の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件があるときは、その内容
9.広告の表示事項の一部を表示しない場合であって、カタログを有料負担させる場合はその金額
10.通信販売電子メール広告をするときは、販売業者又は役務提供事業者の電子メールアドレス
なお、2022年6月1日施行の特定商取引法の改正事項によれば、インターネット通信販売についてはウェブサイトの最終確認画面に「商品分量・価格・支払時期・引き渡し時期・解約条件・定期購入の場合はその条件」(同法第12条の6)を表示することが新たな義務として指定されました。これについては消費者庁からもガイドラインが公表されました。
この最終確認画面への表示義務事項の記載に不備があった場合には、同法第15条の4により消費者に契約取消権を認めています。従来は特定商取引法ではネット通販に取消権が認められていなかったので、これは大きな方針転換になります。
そのネット通販の表示義務事項と取消権の範囲については、販売事業者として把握しておく必要があります。
2022年施行の法改正の内容は、定期購入に限定されておらず、単品でのネット通販においても適用されるため、全てのネット通販事業者が対応を求められます。
当行政書士事務所では、これらの特定商取引法のネット通販での表示義務について、2022年施行の法改正内容(12条の6、15条の4関連)に対応した解説書(PDF)と記載例の雛型(Wordファイル)のセットを販売しております。
特定商取引法と定期購入
特定商取引法第11条の通信販売の広告については取引条件の表示が義務付けられており、特に定期購入(サブスクリプション)契約については、同法省令第8条7号で「商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件」の表示義務が規定されています。インターネット通販サイトでは、「利用規約」や「特定商取引法の表示」という見出しのページを設けて、表示義務に関する事項を掲載することが一般的になっています。
また、定期購入を実施する場合には、前述の「特定商取引法の表示」をウェブサイトに記載するだけでは足らず、注文時の申込フォームの「最終確認画面」に定期購入の主な条件(契約期間・配達回数・各回ごとの支払金額など)を全て表示することも求められています。
当行政書士事務所では、定期購入用の「特定商取引法の表示」についての記載例(雛型:Wordファイル)と「最終画面」の記載例を含めた特定商取引法(定期購入分野)の解説書(PDFファイル)をセットにして販売しております。
【販売商品名称】:「定期購入契約(雛型)」
※解説書(PDF)付き
※解説書の目次
・特定商取引法の通信販売の表示義務(「特商法表示ページ」と「最終確認画面」)
・特定商取引法の表示義務違反の罰則 ※法改正と通販の取消権対応
・特定商取引法の法定返品権
・定期購入の特定商取引法の表示事項(記載例の雛形)の逐条解説
定期購入契約(雛型)の概要
以下に「定期購入契約(雛型)」の概要を紹介します。
商品版の雛型(Word)はA4ファイル5枚相当、解説書(PDF)はA4ファイル10枚相当です。
(1)商品・サービスの価格:
「商品・サービス・権利販売の対価」に対応する表示事項として、商品の名称・数量・価格(消費税別の表示)を記載します。
取り扱うのがサービスの場合には、サービスの名称・サービス提供の時間(期間)・価格(消費税別の表示)を記載します。
(2)料金の支払方法・支払時期:
「対価の支払い時期」に対応する表示事項として、支払い方法(現金振込・クレジット・電子マネー・配達代引き)の種別とその詳細条件を記載します。決済のタイミング(前払い・後払い)についてもできるだけ詳しく記載します。
(3)商品・サービスの提供時期(納期):
「商品の引渡し時期 権利の移転時期 サービスの提供時期」に対応する表示事項として、商品発送予定日やサービス開始予定日を記載します。申込・入金のタイミングから何日後に発送(開始)することにするか、スケジュールとして特定の日とするかを記載します。
(4)契約の撤回や解除(返品):
「契約の撤回や解除についての事項」に対応する表示事項として、解約や返金についての条件を記載します。特定商取引法の通信販売規定ではクーリングオフ制度の適用は無く、解約・返金のルールは販売事業者が定めたものが優先適用されます。(解約・返金の条件を掲示しなかった場合には、消費者に法定返品権が生じて8日間の返品が可能という運用になります)。
(5)事業者の名称、住所、電話番号:
「事業者の氏名(名称)又は名称、住所及び電話番号」に対応する表示事項として、これらの基本情報を記載します。
(6)代表者もしくは責任者:
「事業者の代表者又は通信販売業務の責任者の氏名」に対応する表示事項として、代表取締役もしくは業務責任者の氏名を記載します。
法人ではなく個人事業の場合には、個人事業の代表者の氏名もしくは業務責任者の氏名を記載します。この氏名はビジネスネームではなく住民票に記載されている氏名を表示する必要があります。
なお、事業者の氏名(名称)住所・電話番号・代表者氏名については、ウェブサイトに表示しなくても注文時に即時に(メール等で)注文者に開示する仕組みでも可とされています。ただし、その開示を怠ったときは特定商取引法(第11条)の表示義務違反になります。
(7)申込の有効期限:
「申込の有効期限」に対応する表示事項として、有効期限を設ける場合にはその条件を記載します。申込があっても入金がされない場合を想定し、一定期間の入金が無い場合には申込を拒絶(キャンセル)することを表示すべきです。
(8)お客様の費用負担:
「販売価格以外の負担すべき金銭」に対応する表示事項として、主として送料の記載をします。
送料は地域ごとの料金が明確になっていれば、その一覧表を記載するのが望ましいのですが、それが困難な場合は最小額と最大額を表示することでもよいとされています。
また、通信料や銀行振込手数料など、お客様負担とする費用がある場合には、それも記載します。
(9)商品・サービスの契約不適合責任:
「商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者責任」に対応する表示事項として、不良品を送った場合の取り扱いを記載します。特定商取引法の通信販売規定では、解約の条件とは別に不良品があった場合交換・返金のルールも記載する必要があります。
民法改正により旧民法の瑕疵という表現が削除されたため、契約不適合責任に言い換えています。
(10)動作環境:
「プログラム・データを記録した物を販売する場合にはその動作環境」に対応する表示事項として、ソフトウェアやアプリの場合には動作する端末やOSの種類などを記載する必要があります。ソフトウェアやアプリの販売・サービス提供ではない場合には省略できます。
(11)定期購入:
「商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるとき(いわゆる定期購入)」に対応する表示事項として、契約期間・発送時期・発送単位・1回あたりの代金・支払い方法を記載します。
(12)その他の特約
「商品の販売数量の制限その他」の条件に対応する表示事項として、商品の注文数量の上限について記載します。その他に条件を設ける場合にも、ここに詳細条件を記載します。
特に制限や特約を設けない場合は、この事項を省略できます。
雛型の概要は以上のとおりです。
※インターネット・ビジネスをする上で必須の利用規約やプライバシーポリシーの雛形セットは下記のリンク先ページをご覧ください。
(当行政書士事務所の提供するサービスです)。