通常のクレームではなく、度を越えた過剰・不当な苦情を企業や各種団体に対して行う悪質クレーマーの行為はカスタマーハラスメントやクライアントハラスメントと呼ばれ、組織としての対応が求められています。
労働施策総合推進法の改正(2020年施行)では、企業にはパワハラ防止義務に加えて消費者対応業務への従業者に対する配慮義務も規定されました。
そうしたカスタマーハラスメントから従業員や会社・組織を守るための体制整備が必要となっています。
かつては「お客様は神様」がスローガンのように標ぼうされ、少々理不尽な要求であってもお客様の意向には絶対に逆らうべきではないという対応がされてきたものですが、そのような対応を続ければ顧客対応をする従業者がストレスを抱えて退職する事態に追い込まれてしまいます。
そうしたクレーマーハラスメントの被害を放置することは会社・組織にとって大きなマイナスです。
通常のクレームは事業活動を改善するための貴重な意見として拝聴しなくてはなりませんが、過剰・不当な悪質クレームについては組織として毅然とした対応で拒絶する必要があります。
つまり、通常のクレームと悪質なクレームを選別して、悪質なクレームについては内部で規定したルールに基づいてブロックする体制を作らなくてはなりません。
そうした選別を一個人の主観だけで行うのは問題があり、組織として悪質クレームに該当する基準を設けることが不可欠になります。
具体的には、自社のサービスとは無関係なもの、社会通念上から合理性を欠くもの、暴言や誹謗中傷など対応が困難なものなど、NGリストを明確にしておくことが求められます。
また、苦情を受付する窓口を明確化し、そこで記録する内容(日時、顧客名、対応者名、相談概要など)も定めて、クレームが法的トラブルになった場合に備えての証拠を確保する用意を業務ルーチンに加えることも必要になります。
当事務所では、自治体の消費生活相談員としての勤務経験と顧問契約先のヒアリングから妥当な顧客相談ガイドラインや悪質クレーマー対応マニュアル、各種ハラスメント防止規程の雛形を作成しております。
良質なお客様との接点を増やし、悪質クレーマーを選別していく体制を作り上げていくためにも、これらの文書(雛形)は有効なツールになるはずです。
会社、各種団体、病院、諸組合など、ハラスメント防止や顧客対応の基準策定を進めていく際に、下記リンク先ページの雛形(書式・テンプレート)やマニュアルをご活用下さい。
顧客相談ガイドライン雛形
消費者対応業務の記録内容を定め、悪質クレーム行為の定義を組織内で共有。
ハラスメント防止規程雛形
パワハラ・セクハラ・マタハラの防止ルールとカスタマーハラスメント窓口整備。
悪質クレーマー対応マニュアル
悪質クレーマーの種別と対応方法、対応者のメンタルヘルスケアなど。