経済産業省がECサイト運営のガイドラインとする「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の概要を以下に掲載します。
【論点】
インターネット・オークションにブランド品を出品することやインターネット上の掲示板でブランド品の販売の申出を行うことは商標権の侵害にあたるか?
商標登録をされた商品を、商標権者が自らの意思で流通に流した場合には、その転売は正当な商取引の範囲なので商標権侵害の問題は生じません。
しかし、「業として」かつ「真正商品でない」商品を流通させた場合には商標権侵害の責任を負うことになります。
「業として」とは、事業者性を問われることになりますが、たとえ商号を有しない個人であっても、「反復的かつ継続的に取引を行う」場合や「同一の商品を一度に大量に取引を行う」場合には事業者であるとみなされることがあります。(電子契約法第2条2項)
(ただし、特定商取引法の事業者定義には「営利の意思」を必要としており、個々の法律で解釈が異なります。)
「真正商品」のオークションへの出品については、それが正規の流通ルートを経て販売された商品である場合は、その転売は購入者の自由となるので許容されます。
しかし、正規流通ルートを介さず、商標権者の意思に反するルートで横流しされた場合には真正商品には該当しないとされます。
よって、インターネット・オークション等で「業として」かつ「真正商品でない」商品を出品した場合には商標権の侵害に該当し、民法上の損害賠償責任が生じる可能性があります。
また、権利者からの差止請求(商標法第36条)を受けたり、刑事責任(商標法第78条)を負う場合もあると解されます。
なお、真正商品でない偽ブランド品を、偽ブランド品とことわった上で出品する場合も商標権の侵害になります。(商標法第25条)
偽ブランド品を、偽ブランド品と知りつつ真正商品だとして販売した場合には、刑法上の詐欺として刑事責任も負う場合があります。(刑法第246条)