経済産業省がECサイト運営のガイドラインとする「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の概要を以下に掲載します。
【論点】
BtoCの電子契約では、事業者側が、消費者の申込み内容等の意思を確認する措置を設けていない場合には、原則として、操作ミスによる契約は無効となる(電子契約法第3条)。反対に、事業者側が、確認措置を設けていれば、消費者に重大な過失があった場合には契約成立を主張できるが、この「確認措置」とはどのようなものか。
BtoCの電子契約においては、最終確認画面を設置するケースが多くを占めていますが、近時は少ない操作回数で契約を締結させるため、最終確認画面を明示的に表示しない事例が生じています。
平成26年改訂では、最終確認画面を表示しない場合について電子契約法第3条ただし書の「確認を求める措置」として十分であるかに関する追記を行いました。
まず、「確認を求める措置」として入力画面とは別に「最終確認画面」を設けることは必須ではありません。
ただし、「最終確認画面」を設けることが一般化しており、入力画面上のボタンのクリックは最終的な意思表示ではないと消費者が思い込む可能性が高まっていることに鑑みて、「最終確認画面」を設けない場合には、消費者が入力した情報を全て表示して消費者が意思表示の内容を確実に確認できるようにするとともに、「ボタンをクリックすることで最終的な意思表示となること」を消費者に明瞭に表示する必要があると考えられるとされています。
また、入力画面と同一画面の別の箇所に意思表示の内容を明示する画面が設けられ表示されているものの送信ボタンが入力画面側に設けられている場合等、意思表示の内容が、同一画面上であっても、確定的な申込みとなる送信ボタンと全く別の場所に表示されている場合には、消費者が意思表示の内容を確認せずに送信ボタンをクリックするおそれがあるため、「最終確認画面」を設けなければ「確認を求める措置」として不十分とされる可能性があるとされています。
それから、確認画面の表示等の必要がない旨の「意思の表明」を消費者が行う場合について、実際の電子商取引サイトでは、ワンフレーズの短い表現のみが表示されたボタンをクリックさせることがあることに鑑みて、このような場合におけるクリックの法的効果に関する追記を行いました。
それによれば、実際の電子商取引サイトでは、表示スペースの制約等から、確認画面の省略を選択する場合に、「確認画面がなくてもよい場合にはこちらをクリック」というように確認画面が不要である旨の文章を記載したボタンをクリックさせるのではなく、ワンフレーズの短い表現が記載されたボタンをクリックさせることが多くなっています。
このような省略して表現されたボタンのクリックが「確認措置を必要としない旨」の選択の意思表示であることを消費者が理解してクリックした場合には、消費者が電子契約法第3条ただし書の「確認を求める措置」を要しない旨の意思を表明した場合に該当するが、当該ボタンの趣旨が消費者に適切に説明されていないため消費者が省略して表現されたボタンの意味を正しく理解できないままクリックしたような場合には、「確認を求める措置」を要しない旨の意思を表明した場合に該当するとはいえないとされています。
なお、意思の表明の有無については、事業者が主張・立証責任を負います。