経済産業省がECサイト運営のガイドラインとする「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の概要を以下に掲載します。
【論点】
デジタルコンテンツ利用契約が終了した後に、ユーザーはデジタルコンテンツを返還又は消去しなければならないか。デジタルコンテンツの利用を継続できるのはどのような場合か。
(1)ユーザーの債務不履行を理由に事業者が契約を解除する場合
ユーザーはデジタルコンテンツを利用する権限を失うので、デジタルコンテンツの利用を停止しなければなりません。
デジタルコンテンツ提供事業者は、ユーザーに対しデジタルコンテンツの返還又は消去を求めることができません。
(2)デジタルコンテンツ提供サービス終了に伴い事業者が契約を終了する場合
デジタルコンテンツ利用契約が終了した後の処理に関し、デジタルコンテンツ利用契約に具体的な規定が置かれていれば、契約それ自体に無効事由等がない限り、デジタルコンテンツ利用契約終了後の権利関係は、当該規定に基づいて処理されることになります。
事後処理に関する規定がない場合、デジタルコンテンツ提供サービスにおける事業者のサービス提供義務は消滅し、事業者がデジタルコンテンツ提供サービスを提供しなくても債務不履行と評価されることはないとされます。
ダウンロード型のデジタルコンテンツ提供サービスにおいては、ユーザーが事業者に対し再度デジタルコンテンツの提供を求めることはできないが、ユーザーが手元にあるデジタルコンテンツを返還ないし消去する義務は負わないと解されます。
(3)デジタルコンテンツ利用契約に無効事由や取消事由があった場合
デジタルコンテンツ利用契約に無効事由や取消事由があり、当該デジタルコンテンツ利用契約が無効とされ又は取消された場合、各当事者は不当利得返還義務を負います。
したがって、事業者は代金をユーザーに返還する義務を負い、ユーザーはデジタルコンテンツの返還義務又は返還に代わる消去義務を負うことになります。