経済産業省がECサイト運営のガイドラインとする「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の概要を以下に掲載します。
【論点】
P2Pファイル共有ソフトを用いて、音楽などのファイルを無断でインターネット上にアップロードする行為やインターネット上からダウンロードする行為は著作権法違反となるか?
著作物の複製を行う権利は、著作権者および著作隣接権者が専有することになっていますが、私的使用の目的で複製を行うことは認められています。(著作権法30条1項、102条1項)。
ただし、Winny等のファイル共有ソフト(P2Pファイル共有ソフト)を使用して、他人の著作物をアップロードやダウンロードする場合は著作権法の侵害が問題になることがあります。
例えば、音楽CD等の著作物からMP3等のファイル形式に複製することが行われていますが、P2Pファイル共有ソフトを利用して公衆へ送信する目的で複製した場合は、私的使用の目的を外れるので、著作権の複製権を侵害することになります。また、当初は私的使用の目的で複製したものであっても、そのファイルをアップロードしたら、同様に複製権の侵害になります。また、こうしたアップロード行為は、送信可能化権(著作権法2条1項9号の5)の侵害にもなります。
こうした著作権の侵害には、侵害者に故意または過失があれば民法上の損害賠償責任を負うことになります。故意または過失の有無に関わらず、著作権者は権利侵害者に対して差し止め請求をすることができます。(著作権法112条)
更に、故意があり、かつ告訴があれば、侵害者は刑事責任を負う可能性もあります。(著作権法119条1項)。
P2Pファイル共有ソフトを用いたダウンロードについては、私的使用の目的の複製については許諾されます。
しかし、私的使用を目的とする場合であっても、それが権利者の許諾を得ずに自動公衆送信されているものであると知りながら動画などの著作物をダウンロードする行為は、著作権の侵害にあたると解釈されています。ただし、この場合は刑事罰の対象にはなりません。
ダウンロード行為が著作権の侵害にならない場合でも、受信したファイルを私的使用以外の目的で頒布、または公衆送信した場合は、目的外使用として複製権(著作権法21条等)の侵害となり、損害賠償責任、権利者の差し止め請求、刑事責任の問題が生じる可能性があります。