資金決済法のポイント購入(前払い式支払い手段)について の利用規約
各種ASPサービスやゲーム・サイト、鑑定サイトなどを運営し、その対価の支払いのために前払い式のポイントを販売する方法を採用する事業では、資金決済法の適用を受ける場合があります。
資金決済法の適用を受ける事業者には、金融庁へのポイント発行者の届出や登録(資金決済法5条、7条)の義務が課せられます。
また、ポイントの未使用残高が多い場合には、その半分に相当する金額を法務局へ供託する発行保証金の供託義務も生じます。(資金決済法14条)
更に、資金決済法に基づく表示を行う義務も生じます。(資金決済法13条)
この表示義務については、次の項目について記した書面の交付やポイント販売サイトへの掲示をする必要があります。
(1)発行者の氏名、商号または名称
(2)利用可能金額または物品・サービスの提供数量
(3)使用期間または使用期限が設けられている場合は、その期間または期限
(4)利用者からの苦情または相談を受ける窓口の所在地および連絡先(電話番号等)
(5)使用することができる施設または場所の範囲
(6)利用上の必要な注意
(7)電磁的方法により金額等を記録しているもの
(8)未使用残高または当該未使用残高を知る方法
(9)約款などが存する場合には、当該約款等の存する旨
資金決済法の適用除外について
実は、全ての前払い式支払い手段が資金決済法の適用を受け届出・登録の義務や発行保証金の供託義務を受けるわけではありません。
(1) 発行したポイントの使用期限が6ヶ月以内であること
(2) ポイントを追加購入した場合にも、旧ポイントの使用期限は延長されないこと
この2つの条件を満たす前払い式支払い手段については、資金決済法の適用除外(4条)となり、届出・登録の義務や発行保証金の供託義務は負いません。
つまり、発行したポイントは6ヶ月以内に消費することを促し、6ヶ月を経過した場合には残余ポイントは失効するように規約を定めて運用すれば、資金決済法の適用は受けません。
自家型発行者と第三者型発行者
ポイント発行者の提供するサービスについてのみ利用できるポイント制を採用する場合には、自家型発行者となります。
発行しているポイントの未使用残高が3月末あるいは9月末において、1,000万円を超えたときは、内閣総理大臣への届出が必要となります。
ポイント発行者以外の提供するサービスについても、発行するポイントが利用できる制度を採用する場合は、第三者型発行者となります。
この場合は発行前に内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。
当サイトで販売する「ポイント利用規約」の雛形の特徴
当サイトで販売する「ポイント利用規約」の雛形については、ポイントの自家型発行者(ポイントの利用は自社サービスに限定する制度)を対象としております。(第三者型発行者の制度は対応しておりません。)
資金決済法の適用事業と適用除外の事業の両方に対応できるよう、それぞれの条項を記載しています。
ポイント制についての運用ルールに限定した規約であるため、ASPサービスなどを運営する場合は、別途で規約を整備する必要があります。
(なお、ASPサービスの利用規約の雛形については、リンク先のページにて販売しております。あわせてご検討下さい。)
以下に「ポイント利用規約」の雛形概要を記載します。
(このポイント利用雛形は全21条、A4用紙8枚分の構成となっております。)
製品版の雛型(WORDファイル)には、全条文についての逐条解説書も付属しております。
なお、本規約は事業者同士の事業者契約を想定して、サービス提供事業者側に有利になる内容としております。
ポイントの販売対象が一般消費者の場合は、消費者契約法や特定商取引法を意識する必要もあります。
基本的には消費者契約でも本雛形の活用ができますが、実際の運用時には柔軟な対応をされた方が良いでしょう。
目的
規約の目的を表示します。
サービス提供事業者が提供するサービスについて、その対価を前払い式のポイントで販売するための規約であることを明示しています。
規約適用の範囲
この規約の適用範囲は、前払い式ポイントの売買とその運用について定めることに限定されることを確認します。
サービス提供事業者が提供するサービスについての契約内容や規則は、別途定めておくことが必要です。
本サイト
ポイントの販売やポイント残高確認などの情報提供を行うサービス提供事業者のWEBサイトの役割について定めます。
規約の変更等
規約の変更については、サービス提供事業者のWEBサイトに事前の予告期間を設けて表示することにより、自由に変更することができることを明示します。
本ポイントの購入および本規約の同意
ポイントの購入は、提供サービスのアカウント(利用権)を持つ利用者が、本規約に同意することを前提として購入できるものであることを確認します。
よって、初回のポイント購入時に、利用者は本規約の内容を承諾したものと扱います。
本ポイントの使用
ポイントはサービス提供事業者が提供する指定サービスについてのみで利用できることを明示します。
ポイントを他目的に流用することを許可しないことを明確にします。
ポイントの有効期限
資金決済法の適用除外とする場合には、ポイントの使用期限を6ヶ月以内として、かつポイントの追加購入時に旧ポイントの期限延長をしてはいけないという制約があります。
そのため、この条項については、資金決済法の適用の場合(使用期限1年間)と、適用除外の場合(使用期限6ヶ月)の2パターンの条項を用意しております。
本ポイントの制限事項
購入したポイントを複数アカウントで共有するような使い方を不許可とします。
あくまでもサービスの単一アカウントごとにポイントの購入が必要であることを確認します。
免責
サーバー障害などでサービスが一時停止するようなケースがありうることは前提とし、そのような場合にサービス提供事業者の責任を免除します。(サービスの一時停止による利用者の損害賠償責任を負わないことを明らかにします。)
禁止事項
不正アクセスや誹謗中傷などの反社会的行為について具体例を挙げて禁止しています。
この禁止事項に違反した利用者のポイントは無効とすることができます。
利用登録の解除
登録情報の解除については、サービス提供事業者が指定する方法で行うことを確認します。
登録解除手続をした場合は残余ポイントが失効し、その代金は返還されないことを明示します。
個人情報の利用と提供
個人情報保護法を遵守し、情報管理を厳格に行うことを確認します。
また、収集した個人情報の利用目的を具体例を挙げて明示します。
本雛形の概要については以上のとおりです。