契約書の遠山行政書士事務所

岐阜県中津川市蛭川2244-2

3-8 ユーザーの知的財産権譲受人への対抗

経済産業省がECサイト運営のガイドラインとする「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の概要を以下に掲載します。


【論点】
ソフトウェア等の情報財の知的財産権(著作権、特許権)を有するベンダー(ライセンサー)から第三者に知的財産権の譲渡がされた場合、もしくはベンダーが倒産した場合、ライセンスの許諾を受けていたユーザーは当該情報財の使用を継続することができるか?

<情報財に関する知的財産権が第三者に譲渡された場合>
知的財産権の譲渡人と譲受人の間で、情報財のライセンサーとしての地位を移転する契約がなされた場合は、ユーザー(ライセンシー)は通常は引き続き情報財の使用ができます。
なお、この場合、仮に年度ごとにライセンス料が支払われるようなときには、(1)「三者間で譲渡契約を締結する」、(2)「旧ライセンサーからユーザーに対して、ライセンス料債権を新ライセンサーに譲渡した旨を通知する」、(3)「ライセンス料債権の譲渡についてユーザーが新もしくは旧のライセンサーに承諾する」のいずれかの手続が必要となります。

知的財産権の譲渡人と譲受人の間で、知的財産権のみが譲渡される契約がなされた場合は、以下のとおりとなります。

 

(ア)著作権が譲渡された場合
著作権が及ぶ形で情報財を利用する場合には、譲受人の著作権を侵害することになるので、情報財の使用を継続することはできなくなります。
ただし、情報財を単に視聴するなど著作物に改変を加えない使用行為や私的複製(著作権法第30条1項)など、譲受人の著作権が及ばない形であればユーザーは情報財の使用が継続できます。

 

(イ)特許権が譲渡された場合
ユーザーは自己の通常実施権発生後の当該特許権や実用新案権の譲受人に対し、自己の通常実施権を対抗できるので(特許法第99条)、ユーザーは情報財の使用を継続できます。
ただし、譲渡人とユーザーの間の契約内容がそのまま譲受人に引き継がれるか否かは不明確なので、使用条件について紛争化するリスクはあります。
そこで、情報財のライセンス使用許諾の契約をするに際しては、ライセンサーが当該情報財の特許権を有している場合は、その特許権に担保設定をするか承継禁止特約を結ぶなどの検討が必要といえるでしょう。

 

<ベンダー(ライセンサー)が倒産した場合>
(ア)著作権の場合
管財人によってライセンス契約が解除される可能性があり、その場合はユーザーは情報財の使用ができなくなります。
しかし、一般的なパッケージ・ソフトウェアのように最初に対価を支払えば以降の使用対価を支払う必要の無いような情報財のライセンス契約については、通常は解除されることはない場合が多いようです。

 

(イ)特許権の場合
ユーザーは自己の通常実施権発生後の当該特許権や実用新案権の譲受人に対し、自己の通常実施権を対抗できるので(特許法第99条)、ユーザーは情報財の使用を継続できます。

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(要約)の目次

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂経緯

(このガイドラインの意義など)

 

Ⅰ 電子商取引に関する論点


1 オンライン契約の申込みと承諾


  消費者の操作ミスによる錯誤について


  未成年者の意思表示(取消)


2 オンライン契約の内容


3 なりすまし


4 未成年による意思表示


5 インターネット通販における返品


6 ネットショッピングモール運営者の責任


7 インターネット・オークション


8 インターネット上で行われる懸賞企画の取扱い


9 共同購入クーポンをめぐる法律問題について

 

Ⅱ インターネット上の情報の掲示・利用等に関する論点

 

1 CGM(ConsumerGeneratedMedia)サービス提供事業者の違法情報媒介責任


2 他人のホームページにリンクを張る場合の法律上の問題


3 P2Pファイル共有ソフトウェアの提供


4 ウェブ上の広告


5 ドメイン名の不正取得等


6 インターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害


7 ID・パスワード等のインターネット上での提供


8 インターネットを通じた個人情報の取得


9 肖像の写り込み


10 インターネットと著作権

 

Ⅲ 情報財の取引等に関する論点


1 ライセンス契約の成立とユーザーの返品等の可否


2 当事者による契約締結行為が存在しないライセンス契約の成立


3 ライセンス契約中の不当条項


4 ライセンス契約の終了


5 ベンダーが負うプログラムの担保責任


6 SaaS・ASPのためのSLA(ServiceLevelAgreement)


7 ソフトウェアの使用許諾が及ぶ人的範囲


8 ユーザーの知的財産権譲受人への対抗


9 ソフトウェア特許権の行使と権利濫用


10 使用機能、使用期間が制限されたソフトウェアの制限の解除方法を提供した場合の責任


11 データベースから取り出された情報・データの扱い


12 デジタルコンテンツのインターネット提供の法律問題(著作権)


  契約終了後のデジタルコンテンツの利用


  電子出版物の再配信の義務


  オンラインゲーム内のアイテムの権利


Ⅳ 国境を越えた取引等に関する論点


1 事業者間取引についての国際裁判管轄及び適用される法規


2 消費者と事業者の間の取引についての国際裁判管轄及び適用される法規


3 生産物責任と国際裁判管轄及び適用される法規


4 インターネット上の名誉・信用の毀損と国際裁判管轄及び適用される法規


5 国境を越えた商標権行使


6 外国判決・外国仲裁判断の承認・執行

 

 

 

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当行政書士事務所の契約書雛形の3つの安心

 

その1 逐条解説書が付いているので安心
契約書雛型には、条項ごとの解説文書を付属しているので、解説を参照しながら雛形の修正を行うことができます。

その2 14日間の無償相談期間が安心
契約書雛形と解説書を確認しても判断がつかない問題があった場合には、メールか電話での無償相談に応じます。
(但し、無償相談は契約書雛形の納品日から14日間限定です。)

その3 Webサービスに精通した行政書士だから安心
当サイト運営者の遠山桂はIT関連事業の経験が長く、サイト制作と運営も自前です。
各種Webサービスの契約書作成の経験も豊富で、Web制作技術と契約知識とWebマーケティング経験を活かして契約書を作成しています。



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