契約書の遠山行政書士事務所

岐阜県中津川市蛭川2244-2

2-10 インターネットと著作権

経済産業省がECサイト運営のガイドラインとする「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の概要を以下に掲載します。


【論点】
インターネット上の情報を収集、解析、プリントアウト、メール配信等することにより利用する行為は許されるか?

著作権法で保護される著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法第2条)と定義され、特許権のように新規性までは求められません。
よって、インターネット上のニュース記事、論文、他企業の広告、画像等の情報やインターネット掲示板への書き込みも著作物と評価され、著作権法の保護の対象になります。

 

著作物については、私的使用の目的での複製(著作権法第30条)や引用(著作権法第32条)については認められていますが、それ以外の使用には権利者の許諾が必要となります。

 

※著作物の引用ルール
著作物の私的使用の目的以外の無断複製は違法行為となりますが、一定のルールを守って他人の資料を引用する場合は適法となります。
以下に著作物の引用のルールを例示します。(著作権法32条1項)

 

・既に公表されている著作物であること
・公正な慣行に合致すること
・報道・批評・研究などのための正当な範囲内であること
・引用部分とそれ以外の部分の主従関係が明確であること
・カギ括弧などにより引用部分が明確になっていること
・引用を行う必然性があること

 

このように自分で著作物を創作しようとしていることが、引用の大前提となります。引用が無ければ作者の主張の説明が不可能かどうかが、引用の適否の判断基準となります。
また、引用を行う場合には、その出典情報などの出所の表示義務もあります。(著作権法48条)

 

インターネット上の情報をプリントアウトやメール配信する場合については、著作物の権利者が、誰もが無償でアクセスできるサイト上に情報を掲示し、当該サイトにアクセスする者全てが自由に閲覧することを許容している場合、権利者がプリントアプトの禁止等の意思表示をしていなければ、多くの場合で権利者から黙示の許諾があるものと考えられています。
ただし、同様のケースであったとしても、記事や論文をプリントアウトして販売する場合や、資料として営業活動の一環として社外に配布する行為等は、権利者の予想の範囲を超えるものであり、黙示の許諾はないと考えられます。

 

また、情報検索サービス事業者がそのサービスの提供過程において、インターネット上に公開された情報の収集、整理、記録をして、その検索結果をインターネット上に表示することは著作権法で許諾されています。(著作権法第47条6)

 

その他にも、著作物を譲渡しようとする場合にサムネイルを作成してインターネット上にアップロードすること(著作権法第47条の2)、障害対応のためにキャッシュサーバー等に一時的に情報を蓄積すること(著作権法第47条の5)、情報処理の技術過程において記録媒体にデータを複製すること(著作権法第47条の8)などの許諾もあります。

 

インターネット掲示板への投稿についても、投稿者が匿名であったとしても著作物性が認められ、原則として投稿者に著作権が帰属します。よって、この投稿を二次利用するには権利者の許諾が必要ということになります。
しかし、インターネット掲示板において、掲示板運営者がサイトのわかりやすい場所に、例えば「本掲示板の管理者等は本掲示板に記載された書き込みを、校正上で必要な改変(投稿者名の表示・非表示を含む)を施した上で、予告無く出版することがあります。本掲示板に記載された書き込みに関する著作権及び著作者人格権に関し、出版に係る利用につき、本掲示板の管理者等に許諾するものとします。」という利用規定の同意画面を表示し、同意のボタンをクリックした後に掲示板の投稿が出来るシステムが構築されている場合には、この許諾について合意が成立したと考えられ、掲示板運営者は利用規約に表示した範囲内で自由に投稿の二次利用が可能になるとされています。

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(要約)の目次

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂経緯

(このガイドラインの意義など)

 

Ⅰ 電子商取引に関する論点


1 オンライン契約の申込みと承諾


  消費者の操作ミスによる錯誤について


  未成年者の意思表示(取消)


2 オンライン契約の内容


3 なりすまし


4 未成年による意思表示


5 インターネット通販における返品


6 ネットショッピングモール運営者の責任


7 インターネット・オークション


8 インターネット上で行われる懸賞企画の取扱い


9 共同購入クーポンをめぐる法律問題について

 

Ⅱ インターネット上の情報の掲示・利用等に関する論点

 

1 CGM(ConsumerGeneratedMedia)サービス提供事業者の違法情報媒介責任


2 他人のホームページにリンクを張る場合の法律上の問題


3 P2Pファイル共有ソフトウェアの提供


4 ウェブ上の広告


5 ドメイン名の不正取得等


6 インターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害


7 ID・パスワード等のインターネット上での提供


8 インターネットを通じた個人情報の取得


9 肖像の写り込み


10 インターネットと著作権

 

Ⅲ 情報財の取引等に関する論点


1 ライセンス契約の成立とユーザーの返品等の可否


2 当事者による契約締結行為が存在しないライセンス契約の成立


3 ライセンス契約中の不当条項


4 ライセンス契約の終了


5 ベンダーが負うプログラムの担保責任


6 SaaS・ASPのためのSLA(ServiceLevelAgreement)


7 ソフトウェアの使用許諾が及ぶ人的範囲


8 ユーザーの知的財産権譲受人への対抗


9 ソフトウェア特許権の行使と権利濫用


10 使用機能、使用期間が制限されたソフトウェアの制限の解除方法を提供した場合の責任


11 データベースから取り出された情報・データの扱い


12 デジタルコンテンツのインターネット提供の法律問題(著作権)


  契約終了後のデジタルコンテンツの利用


  電子出版物の再配信の義務


  オンラインゲーム内のアイテムの権利


Ⅳ 国境を越えた取引等に関する論点


1 事業者間取引についての国際裁判管轄及び適用される法規


2 消費者と事業者の間の取引についての国際裁判管轄及び適用される法規


3 生産物責任と国際裁判管轄及び適用される法規


4 インターネット上の名誉・信用の毀損と国際裁判管轄及び適用される法規


5 国境を越えた商標権行使


6 外国判決・外国仲裁判断の承認・執行

 

 

 

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当行政書士事務所の契約書雛形の3つの安心

 

その1 逐条解説書が付いているので安心
契約書雛型には、条項ごとの解説文書を付属しているので、解説を参照しながら雛形の修正を行うことができます。

その2 14日間の無償相談期間が安心
契約書雛形と解説書を確認しても判断がつかない問題があった場合には、メールか電話での無償相談に応じます。
(但し、無償相談は契約書雛形の納品日から14日間限定です。)

その3 Webサービスに精通した行政書士だから安心
当サイト運営者の遠山桂はIT関連事業の経験が長く、サイト制作と運営も自前です。
各種Webサービスの契約書作成の経験も豊富で、Web制作技術と契約知識とWebマーケティング経験を活かして契約書を作成しています。



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